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台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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1月9日の集会で停まっていた車より

1月9日の集会で停まっていた車より

 日本でも大きく報じられてきていますが、6月6日に高雄市の韓國瑜市長のリコールに関する住民投票が行われ、賛成が93万9090票と最低条件の57万4996票を大きく超える票を獲得し、リコールが成立しました。

 住民投票によるリコール請求が成立したのは初めてで、韓國瑜市長は6月11日付で解職されました。投票無効を訴える訴訟を起こして、延命を図り、地位と名誉を回復する選択肢もあったのですが、それを選ばず、そのまま最終日を迎えました。


総統選挙時のグッズ売り場より

総統選挙時のグッズ売り場より

 振り返れば、2018年11月の高雄市長選挙で89万2545票を獲得し当選。國民党の勢いを象徴付けた存在の韓國瑜前市長が、就任2年も満たずリコール投票によって失職したのは、個人的には驚きましたが、仕方がない一面もあります。

 高雄市長に就任してわずか数ヶ月で総統選挙への立候補を表明し、國民党内での予備選挙を経て、正式に候補者となったのは、およそ1年前のことです。

 この辺りから、市政が疎かになりつつあったようで、日本の政党関係者が訪れた際に25分以上遅刻する、といった失態が報じられるようになってきました。
更には、台湾関係を研究している日本の大学教授らが待ち合わせ場所の急な変更などによって大幅に遅刻した際には、「自分は25分待った」などと発言したこともあり、さらに厳しい声が聞かれるようになりました。


グッズ売り場より

グッズ売り場より

 時間の経過と共に選挙活動も始まり、韓國瑜市長も選挙活動に専念するため、10月に市長職を休職しましたが、その頃から韓國瑜市長の施政に不満を持つ市民団体がリコール投票に向け、投票が行われる条件になる署名を集め始めていました。ただ、この頃は、リコール投票の条件が厳しく設定されていることから、「まだまだ先の話」という感じでした。

 選挙活動に入ってからは、報道を見ている限り、世論調査で少しずつ差をつけられ、戦況はますます不利になっていきました。

 そんな中、私のところに、台湾観光協会からプレスリリースが2回届きました。昨年12月と今年1月の選挙活動中に行った発言で、事実無根のことを話し、協会の名誉を著しく毀損。協会側は、担当弁護士と相談して、訴訟も検討すると同時に、総統選挙の候補者として自覚と責任を促す内容のもので、厳しい姿勢を前面に出したものになっていました。

 台湾観光協会からだけかな…と思ったのですが、もし他のところからも同様のものが出ていたら、それらの積み重ねが大きく影響したのではないか、とも思わずにいられませんでした。


立法委員選挙候補者の汪志冰(ワン・ジーピン)台北市議会議員(左)の応援には、そっくりさん(右)も登場

立法委員選挙候補者の汪志冰(ワン・ジーピン)台北市議会議員(左)の応援には、そっくりさん(右)も登場

 今年に入り、國民党の候補者の応援集会、1月9日の全体集会も見に行きましたが、最初から最後まで民進党、蔡英文総統、相手候補の悪口に徹し切ったもので、雰囲気も殺伐とした感じになっていきました。

 上の写真のそっくりさんのタレントが、集会の後半に登場して雰囲気を作りましたが、前方に座っている熱狂的支持者以外にはあまり響いていない様子でした。


1月9日の選挙前の集会より

1月9日の選挙前の集会より

 1月9日の総統府前の集会では、主催者発表で100万人以上集まったそうですが、会場前方は押し合いへし合いで前へ進めず、罵声や怒号が飛び交うような殺伐とした雰囲気にやられそうでした。

 ここでも徹頭徹尾、民進党と蔡英文総統の悪口が響き渡り、相手陣営を揶揄するものが配られると、あちこちから一斉に手が伸び、もぎ取ろうとする姿もあちこちで見られました。

 上の写真の頃には、韓國瑜市長のスピーチが行われていましたが、相手陣営の悪口が際立つような感じで、数日前に見た候補者の応援集会の雰囲気の再現となりました。

 そして、総統選挙は落選。
 選挙から2日後の1月13日から高雄市長の職務に復帰しましたが、10:00の会見予定に5分遅刻、「公務復帰時に、また遅刻か」と皮肉交じりに報じられました。

 公務に復帰した直後に、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に迫られる事態に直面しましたが、防疫対策に関する施政満足度は37.1%と主要6都市(台北、台中、台南、高雄、桃園、新北)で最下位。同じ國民党の1位・新北市の候友宜市長の88.3%とは「天と地」ほどの差がついてしまいました。

 公務に復帰後も、リコール投票の動きは止まらず、厳格なハードルを乗り越え、4月17日に投票の開催が決定。6月6日の投票も、投票率は42.14%だったものの、開票から1時間も経たないうちに必要得票数の57万4996票を越え、リコールがあっさり決まりました

 そしてリコール決定から約3時間ほど経ってから、韓國瑜市長を就任時から支えていた高雄市議会の許崑源議長が自宅マンションで転落死するというニュースが流れ、韓國瑜市長に追い打ちをかけた格好になりました。

 韓國瑜市長の離職後、行政院より市長代行が指名され、6月13日より職務に就き、8月15日に補欠選挙が行われることが公布されました。

 8月15日の選挙後、高雄市はどんな市長を迎えるでしょうか。


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