台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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男子決勝を視察した柯文哲台北市長(中央の赤いマスクの男性)

男子決勝を視察した柯文哲台北市長(中央の赤いマスクの男性)

 男子決勝は、政治大學VS世新大學の台北市内にある大学で、初めて決勝に進出したもの同士の対決になったこともあってか、観客も応援団も多数集まり、柯文哲台北市長も視察に訪れていました。

 


男子決勝の様子

男子決勝の様子

 試合は序盤から3ポイントシュートが続けて入り、点差を広げていった政治大學が82ー70で勝ち、初優勝を決めました。


監督を胴上げする世新大學の選手たち

監督を胴上げする世新大學の選手たち

 女子の決勝は、世新大學が台湾師範大學に70ー51で勝利し、2年連続優勝を飾りました。こちらは、1次予選から負けなしの23戦全勝での優勝を飾りました。


女子準決勝の第2試合より

女子準決勝の第2試合より

 今回のUBAでは、例年とは少し違うことが起きました。

 女子の準決勝第2試合で、台湾師範大學の選手が脚の筋けいれんで倒れこみ、起き上がれなくなり、チームメイトに支えられてベンチに下がった時、相手チームの中國文化大學の応援席から歓声が上がりました。

 この時、DJがすぐに「(負傷などで倒れている)相手選手の不幸を喜ぶような声援は慎みましょう」とアナウンスしていました。これまでなら、こうしたアナウンスは全く起こらず、そのまま流すのですが、今回は違いました。

【参考】
高校バスケHBLの場合、負傷して倒れたり、ベンチに下がった選手がいたら、DJが負傷した選手の名前を出し、「温かいご声援をお願いします!」とアナウンスします。


男子準決勝第2試合より

男子準決勝第2試合より

 このアナウンスの背景にあったと見られるのは、2月27日に行われた男子2次予選リーグの世新大學VS台湾師範大學で発生した「差別発言騒動」。

 きっかけは試合終了間際に、世新大學が仕掛けてきたファウルプレー。

 最後の1・1秒でファウルがとられた際、台湾師範大学の選手が黒人の蔑称表現の言葉(中国語)を発したことで、世新大学のセネガル出身の選手(台湾籍を取得済み。新北市の高校も卒業していて、言語コミュニケーションに不自由がない状態)が怒って審判に抗議。また、当事者同士が少しばかり言い合いになったことで両者にテクニカルファールが与えられ、試合終了後も後味の悪さが残るものになりました。

【参考】
https://youtu.be/clNRdUoZRR8?t=5645

 その後、台湾師範大学の当該選手と指導者、大学関係者が世新大学の控室を訪れ、謝罪。世新大学の当該選手も、すぐに謝罪を受け入れ、事を治めました。しかし、事態を重く見た台湾師範大學は、当該選手に2次予選リーグの残り試合の出場停止処分を独自に科しました。


 2010年代後半に入ってから、大学によっては留学生の選手を入れ、自チームの弱点を積極的に補うようになってきました。

 日本の学生スポーツでは、留学生選手の出場に規制を設けていると聞いていますが、台湾は規制を設けていません。実際、大学サッカーUFLでは、過去に全員ブラジル人のチームもありました。

【参考】
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=2019628233315

 UBAの場合、留学生の選手を受け入れているところは、チームのバランスを考え、コートでプレーする選手は一人と決めているチームが目立つ印象で、男子で優勝した政治大学はタイプが被るセンターの位置の選手を2人登録していましたが、決勝戦を見ている限り、2人が同時に出場することはありませんでした。

 一方で、準優勝の世新大学は、3人登録していて、そのうち2人が同時に出場すること(注:セネガル出身の選手も出場すると、3人同時に見える)もあり、他チームとは違う姿勢を見せていました。

 彼らのプレーを見ていると、台湾人選手とは違う技術体系で、選手によっては体格とパワーを生かしたプレーで台湾人選手を圧倒しています。台湾人選手も、高校では留学生の選手と対戦することはほとんどないまま大学に進学し、いきなり今までにないタイプの留学生の選手と対戦するので、その違いに戸惑うことも多いように感じました。

 決勝トーナメントで世新大学の留学生選手のプレーを見た限りですが、ブロックショットでボールを弾く音が台湾人選手よりも大きく響き、ダンクシュートもどんどん仕掛けて決めてくる感じで迫力がある印象でした。

 私の推測ですが、台湾師範大学の当該選手は、試合開始から自分たちにできそうにないプレーをされることによるストレスを蓄積させ、いらだち、気がついたら口が滑っていた…という感じではなかったかと動画の試合を見ていて、感じました。


 台湾の社会も、私が来た2010年の頃よりも変化が早いようで、あちこちで外国人を見かけることが多くなりました。話を聞いていると、滞在期間が長い人の中には台湾籍を取得する人も増え、大学の留学生も増えてきているようです。

 世新大学の留学生選手を他のチームよりも多く登録しているチーム編成を見ていると、社会が大きく変わっていることを的確に映し出していると同時に、その変化の波に乗り、うまく適応できているようにも見えました。

 また、前出の女子の試合で起きたDJの反応も、「差別発言騒動」を受けてか、以前の会場にあった「利害の衝突」のような殺伐とした雰囲気を排除し、一般の人たちにも楽しく観戦してもらえるよう、明るい雰囲気を作ろうという姿勢が見てとれました。


 「社会や時代の変化を、どう受け止め、適応していくか」

 今回、UBAで起きた2つの出来事は、この課題を社会全体に提起しているように見えました。


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