ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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行方不明者の写真が印刷された乳製品大手ピラカンジュバの牛乳パック

行方不明者の写真が印刷された乳製品大手ピラカンジュバの牛乳パック

 最近、スーパーマーケットの牛乳売り場で、ごく普通の人の顔写真が貼られた牛乳パックを目にするようになりました。写真が印刷されたパックをよく読むと、行方不明者の捜索を目的としていることが分かります。

 写真には、行方不明者の名前と行方不明になった年、町、当時の写真、そして、人工知能(AI)技術を駆使して予測された現在の顔写真が印刷されています。もし見つけた場合は、記載されたサイトやQRコードに問い合わせるようにとの説明も記載されています。 


行方不明者の写真が印刷された乳製品大手ピラカンジュバの牛乳パック

行方不明者の写真が印刷された乳製品大手ピラカンジュバの牛乳パック

 このプロジェクトは、ブラジルの乳製品大手ピラカンジュバが、行方不明者捜索に取り組む非営利団体「マンイ・ダ・セ」と提携し、10月から開始したキャンペーン「デスアパレシードス(探し人)」です。買い物客が思わず「何の写真だろう?」と惹きつけられるインパクトがあります。

 このプロジェクトでは、AIと犯罪鑑識の専門知識を活用し、長年行方不明となっている人々の顔写真を基に現在の姿を推測し、生成された画像が牛乳パックに印刷されて全国に配送されています。


行方不明者の写真が印刷された乳製品大手ピラカンジュバの牛乳パック

行方不明者の写真が印刷された乳製品大手ピラカンジュバの牛乳パック

 2024年の「公共安全年鑑」によると、昨年だけでブラジル全土で8万317件の行方不明事案が報告されており、これは前年より3.2%増加しているとのことです。この深刻な社会問題に取り組むべく、ピラカンジュバは自社の牛乳パックを「情報発信の場」として活用し、非営利団体マンイ・ダ・セが協力し、これまでにない試みを実施しました。マンイ・ダ・セは、1996年から行方不明者の捜索を支援しており、25年以上の間に5000人以上の行方不明者が発見されました。

 数百万のパックが全国に配送されることで、情報拡散と行方不明者発見の可能性を飛躍的に高めることがねらいです。

 この取り組みは現時点で無期限の計画となっており、新たな画像の追加も予定されています。キャンペーンは行方不明者とその家族に新たな希望をもたらすものとして注目を集めています。


スーパーマーケットの牛乳売り場

スーパーマーケットの牛乳売り場


行方不明者捜索のキャンぺーンを紹介する乳製品大手ピラカンジュバのサイト

行方不明者捜索のキャンぺーンを紹介する乳製品大手ピラカンジュバのサイト


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