ヨーロッパの紅白歌合戦? ユーロビジョン考察
2009.05.29 up
毎年5月になると、「ユーロビジョン ソング コンテスト」がヨーロッパで開かれます。第54回を迎える今年、前年度の優勝国・ロシアのモスクワで開かれました。
このユーロビジョン、どうして「ヨーロッパの紅白歌合戦」と私が呼んだかというと、各国の出場歌手決め方もまちまち、さらに本戦の順位の決め方もうさんくさくて勝ち負けを決めること自体があまり意味がないように思えるからです。でも、勝敗を決める参加国による投票結果が、なんとなくヨーロッパの交友関係を見るようで興味深くもあります。
今年の優勝国ノルウェーのアリャクサンドル・ルィバーク。 Wikipediaより
今年優勝したのは、ノルウェーのルイバークさん。バイオリンを弾きながら英語で「Farilytale」を熱唱して、ユーロビジョン史上最高得点、387点で優勝しました。
決勝に進んだ25カ国のうち、英語だけで歌った国は13カ国ありました。お互いに歌詞の内容を理解するには英語の方がいいのかもしれませんが、なんとなく、どの歌も同じように聞こえて、ちょっと寂しい気がしました。
今年のスペイン代表、ソラヤ。 ユーロビジョン公式サイトより
今年のスペイン代表のソラヤさんは、残念ながら結果は決勝に進んだ25カ国中23位、得点は23点でした。スペイン語で歌いながら、メインのさびのところはよくある日本の歌のように、ちょっと英語。(Come and kiss me...shake meというのが入っていました)私としては、全部スペイン語のほうかっこいいのにな、と思ってしまいました。
今年の参加国は42カ国あり、スペインは実は、フイギリス、フランス、ドイツとともに「ビック4」と呼ばれ、ユーロビジョンでは予選なしで決勝ステージに立てる特別扱いの国なんです。その参加国42カ国のうち、スペインに票を投じた国は、ギリシア(1点)、スイス(3点)、ポルトガル(7点)、アンドラ(12点)。ポルトガルとアンドラはスペインでは「お友達票」と呼ばれていて、必ず毎年投票してくれているようです。アンドラに至っては、最高持ち点の12点を理由なしで毎年スペインに与えています。この時ばかりは、スペインの公用語の一つカタルニア語で話す小国アンドラの存在の大きさを実感します。そういえば、もう1国、隣国のお友達が残っています。そう、フランスです。フランスは残念ながら、あまり「お友達じゃない」のか、そういうことはしてくれないですね。
2008年のスペイン代表、チキリクアトレ
去年のユーロビジョンには、このユーロビジョンをバカにしたような3人組がスペインの代表になりました。「ウノ!ブレイキングダンス、ドス!クルサイト、トレス!マイケルジャクソン、クワトロ!ロボコップ」とおもちゃのギターをかかえて歌うチキリクアトレと歌っている間に必ず1度はこけるバックダンサーの女性二人組のユニット。スペインの某テレビ国によってユーロビジョンを狙って仕組まれ、スペインでは昨年大ヒット、みごとユーロビジョン出場を勝ち取りました。
去年の出場者の中で、こんなグループを送り込んだのはもちろんスペインのみで、彼らは浮きに浮いていましたが、結果は意外にも決勝で13位。まじめにやった今年の23位よりも評価されていました。
この結果は、歌詞や歌の価値観が統一どんどん統一されあまりその国らしさが見えなくなって来ているユーロビジョンに対して、一石を投じたスペインの反骨精神が、参加国によってそれなりに評価されたからだ、と私は考えているのですが、どうでしょうか。
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