スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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 3月23日(月)から不要不急の外出が禁止されているイギリス。「Stay at home」を合言葉に市民たちは家にいる生活を送っています。

 多くの人が「自分たちが家に留まることでコロナの拡大を押さえることができる」との責任を認識し、実行している点に感心しています。気温が上がり晴天が続いてビーチなどへの外出者が増えると懸念された先週末でさえ、ほとんどの人が家に留まりました。「生半可な気持ちでは新型ウィルスに勝てない、わたしは家にいます、あなたも家にいてください」といった英国民の気概を感じています。


 とはいえ、ロックダウン実施からすでに2週間以上経ち個人レベルではみんな疲れが出てきている現実も。この状態がいつまで続くかわからない不透明さがその不安に拍車をかけています。


 そんななか、明るい気持ちをもたらしてくれるのが、昨今のイギリスで窓辺に映る日常風景にさえなってきた「虹の絵」。


 「虹の絵」は、過酷な環境のなかでも私たちのためにこのパンデミックと闘ってくれている医療従事者や警察などの方々へ感謝を表すもの。絵の中には、「Thank you NHS(医療従事者のみなさんありがとう)」や「We will go through this!(みんなでこれを乗り越える!)」といったポジティブなメッセージが書かれていることも。

 虹のカラフルな色合いは、わたしたちにも元気を与えてくれますし、この状態にいるのは自分たちだけじゃないんだ、という一体感も感じます。

 うちもできることはしたいと、子どもたちが絵の具で虹の絵を描き、道路沿いの窓際に貼っています。


 現在のロックダウンの元、市民たちは個人ができる「小さいようで大きいこと」をそれぞれが実施している気がします。

 筆者が住む村でもパンデミックが始まってからは、「何か必要なことはないか」「家族みんな大丈夫か」といった声かけが盛んに行われるようになりました。車生活の村だけに、それまでは近所の人と会っても車内から手を挙げて挨拶をする程度だったのに、です。


 また、ご近所の老婦人が「みんなが元気な気持ちになれるように、窓際に人形を飾りましょう」と言い出し、20件ほどの家があるうちの村の家々の窓にはたくさんの人形が飾られるようになりました。

 イギリスでは、一日一回、運動のために外出されることは認められているので、その外出時に窓際の人形を見て明るい気持ちになれれば、との思いつきでした。「子どもたちが人形を数えながら歩くだけでもいつもと違う風景になるから」ともおっしゃっていました。わたしも、子ども2人を連れて村の近辺を毎日散歩していますが、毎日違う人形を飾る家もあって、散歩の小さな楽しみの一つになっています。

 ロックダウンで毎日まいにち代わり映えしない生活を送っているからこそ、ちょっとした変化や人とのつながりを感じるこういった小さいことが明るい気持ちを運んでくれます。



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