スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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ロスコンに挟まれるものは年々多彩になっているような…

ロスコンに挟まれるものは年々多彩になっているような…

 「お正月料理」とは呼ばないまでも、スペインの正月時期に欠かせない定番の一品といえば「ロスコン ・デ・ レジェス(Roscón de reyes)」! 「王様のケーキ」や「幸運の菓子パン」の異名を持つロスコンは楕円(だえん)の中に穴を開けたリング型パン。パンの上には宝石のように色鮮やかな緑色や赤色のドライフルーツのシロップ漬けやアーモンドスライスが飾られています。

 スライスされたパンの間にはホイップクリーム、カスタードクリーム、チョコレートクリーム、チョコ&ホイップクリーム、カベジョ・デ・アンヘル(Cabello de ángel)と呼ばれるカボチャを砂糖で甘く煮詰めたものなどを挟むことも。挟む中味は年々多種多様になっているようですが、何も挟まないオリジナルのロスコンが好みなんて言う人も少なくありません。近年はグルテンフリーのロスコンまで普通にスーパーで売られていて、さすがスペイン、食に気合が入っています。


公現祭の日は家族とランチをしロスコンを食べ、夕方は友達と会ってまたロスコンを食べ、クリスマスの締めくくりに当てます

公現祭の日は家族とランチをしロスコンを食べ、夕方は友達と会ってまたロスコンを食べ、クリスマスの締めくくりに当てます

 この「ロスコン ・デ・ レジェス」、1月6日のスペインで必ずといっていいほど食べるポピュラーなもの。1月6日は公現祭に当たり、スペインでは祝日扱い。ほとんどの店が閉まっている中、ロスコンがおいしいと人気のパン屋さんは朝から行列ができるほど。前もって予約しておき、当日取りに行くんです。

 「ロスコン ・デ・ レジェス」はおいしいだけじゃなくて盛り上がるお菓子でもあるんですよ。ロスコンの中に陶器またはプラスティックでできた小さな人形と、アバ(Haba)と呼ばれる乾燥豆が入っているので「誰に当たるかなあ~!」とワクワクしながら切り分けを選ぶのが楽しいんです。人形が当たった人は幸運を当てたとして、その日一日王様として過ごせます(ロスコンを買ったときについてくる紙でできた王冠をかぶるだけだったりして…?)。

 一方で、アバ(お豆さん)を当てたらその年のロスコンまたは来年のロスコンのお代を支払う羽目に~!!!とはいっても、実際払っている人は見たことないですよ。

 切り分けてみんなで分けて食べられる点や王様当てゲームとしても楽しめる点が、家族が集まる公現祭に食べるお菓子として持ってこいですよね。

 さて、長く続いたスペインのクリスマスも1月6日を過ぎるとおしまい。その日を持って冬休みも終わり、翌日からは子どもたちも学校に戻ります。「幸運の菓子パン」はクリスマス時期の締めくくりとも呼べる一品にもなっています。





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