オランダ

オランダ:ハーレム

倉田 直子(くらた なおこ)

職業…ライター
居住都市…ハーレム(オランダ)

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11月上旬頃、テレビをつけてある変化に気がつきました。
BBCのキャスターたちの胸に、可愛らしい赤い造花がついているのです。
天気予報コーナーなどの担当者たちも、みな一様に同じ花をつけています。


ははーん、さてはこれはイギリス版の赤い羽根共同募金のようなものだな?
と考え、すぐに検索してみました。

すると、意外なことが分かりました。

この花は、「ポピー・アピール」という募金によってもらえるものであることには
間違いないのですが、その対象は全く違ったのです。
この募金は、苛烈だった第一次世界大戦によって亡くなった兵士の遺族や、
障害を負った兵士などの支援に充てるためのものなんだとか。

ポピーは多くのイギリス兵士が死傷し、瓦礫と化したベルギーの
フランダース地方に初めて咲いた花で、その生命力をシンボルとして
「ポピー・アピール」となったそうです。
第一次世界大戦の終結が1918年11月11日だったため、
今では11月11日に一番近い日曜日を「追悼の日」としていて、
ポピーアピールもその日に向けて行われるそう。

何故か私の行動範囲内にはポピーアピールの募金箱が見当たらなかったので
現物を入手できませんでしたが、夫が地元の銀行に行った時は
置いてあったそうです。
(募金してもらってきてくれればいいのに…)

そして、今年の追悼の日である13日の日曜日、いつもの週末のように
郊外の大型スーパーに買い物に行って棚を物色していたら、奇妙なことに
気がつきました。

ついさっきまで賑やかだった店内がシーンと静まり返り、
お客も店員もじーっと静止し、レジすら止まっていました!
えっと思って時計を見ると、ちょうど11時。
なるほど、黙祷の時間だったようです。
目をつぶって祈っている人は殆どいませんでしたが、みな一様に静止しています。
そして2分後、黙祷終了のアナウンスが入り(スタートアナウンスは聞き洩らしました)、
また普通どおりの店内に戻りました。

そして街中でもこの黙祷の時間に追悼イベントがあったようで、
スーパーからの帰り道、クルマで街中を通過するときに
スコットランドの正装であるキルトスカートを着用し、ポピーを
つけた老人たちをたくさん見かけました。
クルマでさーっと通り過ぎてしまったので撮影できず残念!

ポピーアピールの主催団体によると、今年は11月14日現在で
1,825,128ポンドの募金が集まったそうです。

The Royal British Legion
http://www.poppy.org.uk/

戦争が生んだ傷は、90年以上経っても癒えることはありません。
今後は新たなアピールを必要としないよう、戦争のない世の中になって欲しいものです。


ポピーを付けた政治家たち

ポピーを付けた政治家たち




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