メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 25歳で無所属ながらも4割近い得票率にてトップ当選を果たしたクマモト氏。
 彼が選挙活動中、支援の若者たちとともに掲げていたのが「Los muros sí caen.」(壁は崩れる)というスローガン。
 壁、とは2つの巨大政党のこと。クマモト氏が政治を志したのは大学時代。「みんな、政治についてあれやこれや意見したり皮肉を言うだけで、行動を起こそうとしない。それが、二大政党による腐敗政治と長期化する治安の悪化を助長してきた。市民の怠慢さが汚職議員たちをのさばらせてきたとすれば、私たちが行動を起こし、政治とともに生きることこそが、改善策なのではないか。」


市民の住宅の前での選挙活動

市民の住宅の前での選挙活動

 選挙のたびに政治家は入れ替わるけれども、結局、その元となる政党はどれもこれも同じ。みな、私服を肥やすために奔走しているだけで、市民生活はなにも改善されていない、というのがメキシコ人の一般的な政治と政治家への意見です。ならば、壁(巨大政党)に屈することなく、市民が一丸となってその壁を突き破ろうと、若者を中心に立ち上がったのです。「私がやらなかったら、では誰がやるんだ?」という思いを強く持ち、立候補されました。


無駄な資金を使わない、公園での集会

無駄な資金を使わない、公園での集会

 選挙活動も、他候補者のように有料の場所を借りたり、政党の名前入りグッズを配り歩いたり、多額の費用を払う各種広告を打ち出すのではなく、学生や労働者がその1日を終える夕刻に住宅街の公園で対話集会を行うなど、「地に足の着いた、政治家の顔の見える 」キャンペーンを繰り広げていました。
 実際、市内を運転していても、候補者を支援するステッカーを貼った車をよく見かけました。


 「政府は政党や政治家のためではなく、市民のためにあるもの」という純粋な彼の熱意は、「州議員としての報酬の7割を辞退する。つねに議会の外に出て、市民と机を並べて話をし、市民の声を直接議会に持っていく。」などの公約にも表れています。


集まった市民一人一人とじっくり対話

集まった市民一人一人とじっくり対話

 そして、もっとも注目されたグアダラハラ市長には、こちらも巨大政党を押し破ってMovimiento de Ciudadanos(市民運動党)のアルファロ氏が当選。グアダラハラ空港を持つトラホムルコ市の元市長アルファロ氏も、つねに住宅地や商業地などを細かく周り、一般市民の生活から出る声を直に聞く姿勢を貫いています。

 誰を据えても同じ、腐敗しきった巨大政党の支配も終焉に差し掛かっているのでしょうか。メキシコ国民はなによりも、「綺麗な政治、安全な生活」を求めているため、この選挙結果になったように思われます。


(本文掲載の写真はすべて、ペドロ・クマモト選挙事務所の提供によるものです。)


当選の喜びを支援者と分かち合うペドロ・クマモト氏

当選の喜びを支援者と分かち合うペドロ・クマモト氏


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  • 2 コメント

2 - Comments

いとうより:

2015 年 06 月 18 日 12:01:44

いとうです。
速報ありがとうございました。日系4世という身近な感覚もそうですが、無所属で巨大政党から勝利を勝ち取ったところが、素晴らしいですね。日本でも選挙権が18歳からに引き下げるという法案が、17日の参議院本会議で全会一致で可決・成立したところです。若者の政治への関心が高まればと思います。

Setsuより:

2015 年 07 月 07 日 14:04:43

いとう 様

コメントありがとうございます。
メキシコでは、学生や若者の政治参加、デモ活動が盛んに行われています。
一方、地方の寒村などでは貧困もひどく未だに文盲率も高いためか、高齢者の買収が日常的に行われている、という事実も見逃せません。

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