ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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 海外に住む日本人はヨーロッパ、アジア各国や米国に多い。企業や団体での任務終了後は帰国する人がほとんどだ。しかし、ブラジルの場合、約5万人の日本国籍所有者の大半が移民で渡った永住者。生まれ育った日本の“母県”への思いは強い。


 予想もしなかった大地震が熊本を襲った。県史上最大の自然災害になった。発生後「ブラジル熊本県文化交流協会」には義援金や被災地の現状問い合わせが殺到した。

 4月17日午前、同協会に突然80歳ぐらいの男性が現れた。「妹が益城町にいる。電話したが連絡がつかない。義援金を受け付けていると聞き来ました。少しだけど協力したい」と、着用ジャンパーのチャックを下げ、新聞紙で包んだごつい札束を懐から出してテーブルの上に置いた。その額2万レアル(約62万円)。失礼ながら、身なりはごく普通の人だ。会議中の役員4人が無言のまま目を合わせる。領収書を受け取ると「じゃあ、お願いします」と一言、静かに立ち去った。話しぶりから熊本の被災者への心配りが窺えた。


ブラジル熊本県文化交流協会の田呂丸会長(左)に義援金を手渡す梅田ブラジル大使

ブラジル熊本県文化交流協会の田呂丸会長(左)に義援金を手渡す梅田ブラジル大使

 5月9日午後6時すぎには、梅田邦夫ブラジル大使と中前隆博サンパウロ総領事が揃って同協会を訪問。「県人会を通じて熊本との絆を深めたかった」「少額だが何かの役に立ててください」と、それぞれ職員らが集めた金一封を田呂丸哲次会長に手渡した。


田呂丸会長(左)に義援金を渡す中前総領事

田呂丸会長(左)に義援金を渡す中前総領事

 また、ブラジル日本移住者協会、ブラジル・オイスカや各県人会、さらにベレン、リオ、クリチーバ、バストス、ロンドリーナ市在住の県出身者、各地日系団体の厚志が続々と同協会口座に振り込まれている。


 協会関係者を含め義援金協力者は現在約300人で、最終的には500人を超えそう。熊本県への第一次送金は5月末。外国在住日本人も心は日本にいるのと同じ。遠く離れていても、困ったときは互いに助け合いたい。


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