オランダ

オランダ:ハーレム

倉田 直子(くらた なおこ)

職業…ライター
居住都市…ハーレム(オランダ)

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2017年1月、オランダ政府は、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の難民のための新しいアプリの配信を開始しました。

現在オランダが受け入れている難民の大半は、イスラム教圏の出身。イスラム教の経典が同性愛を禁じているとして、イスラム教圏の一部の国では同性愛者の待遇が劣悪なことがあるのだとか。特にイランでは、同性愛が発覚すると死刑に処されるそう。
そういういきさつもあり、悲しいことにLGBTの難民は避難先であるオランダでも様々な差別や嫌がらせ事件が発生していました。

実は、オランダは世界で最初(2000年)に同性婚を法制化したほど同性愛に寛容な国です。LGBT難民の立場を考慮し、早速対策を講じました。まず最初に2016年3月、LGBTの難民向けの特別な避難施設を提供についてオランダ議会が可決します。

そして更に、難民が自らの権利や健康状態、身の安全に関する情報を簡単に調べることができるようにするため、今回のアプリ開発に至ったのです。
アプリの名前は「Rainbow Refugees NL」。レインボー、つまり虹色はLGBTの多様性を象徴する色でもあります。
「iTunes」や「Googleストア」でダウンロードできるこのアプリは、LGBTの難民の権利、オランダでの難民申請の方法、支援機関の案内、身の安全に関する情報などを、英語、フランス語、アラビア語、ペルシャ語(イランの公用語)で調べることができるのです。

イェット・ブッセマーカー(Jet Bussemaker)文化相は「オランダではLGBT差別について苦情を申し立てることができることを、多くの難民は知らない」と述べています。その状況を変えたかったようです。このアプリの開発プロセスが素晴らしいのは、難民自身が開発に参加しているところ。オランダのLGBT団体「COC」、難民受け入れなどを管轄する政府機関「オランダ中央難民機関(COA)」に難民10人(LGBTかどうかは不明)が協力しが共同開発しているのです。ひとりよがりにならず、きちんと難民の意見も取り入れられているのがオランダらしいと感じました。

そして筆者が特に感銘を受けたのが、前述のブッセマーカー氏の「オランダで罰せられるのは同性愛ではなく、差別のほうだ」というコメント。しびれませんか。
LGBTの難民の方々がこのアプリを利用し、自分自身の権利と尊厳に目覚めてくれればいいなと思います。

参照サイト:
http://punchng.com/dutch-launch-rainbow-app-lgbt-refugees/
http://zizo-online.be/article/10800






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