ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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日本語の教授方法を学ぶ日本語教師たち(ブラジル日本語センターで)

日本語の教授方法を学ぶ日本語教師たち(ブラジル日本語センターで)

 ブラジルでの日本語教師と学習生徒の数が上向かず、横ばい状態が続いている。教師は日本人女性が大半で、これまで日本語だけによる教育指導だった。移民の終焉(しゅうえん)とともに日本人教師の高齢化も進む。今、ポルトガル語を母語とする日本語教師育成に取り組む必要がある。このままの環境では、さらなる増加は望めない。


 日本語教師育成や日本語学習生徒養成を目的に活動する「ブラジル日本語センター」(サンパウロ市)の調べによると、昨年のブラジル全国の日本語教師数は約1,200人、学習者数2万3000人。過去10年間、双方の増減に目立った変化はない。
 「世界中で最多の日本人・日系人約200万人が住むブラジルでの日本語教育を見直さなければなりません。日系社会はすでに3・4世時代。1世紀以上の努力が無駄に終わる」と、日系3世の某日本語女性教師は真剣な表情で語る。時代の変遷とともに、学習者が日本人や日系ブラジル人から非日系ブラジル人へ急速に代わりつつあるのだ。


 ブラジルでの日本語教育は110年前の第1回「笠戸丸」移民から始まったといえる。当初、日本移民は母国へ帰るという思いから、ブラジルで生まれた子供の日本語教育に力を入れた。過疎農地に配耕された日本人は皆で協力し合い、学校を建て、日本語を教えた。教師の報酬は少なく、一家を支える職業とは言えなかった。教科書は手に入りにくく、あかのついた兄姉のお下がりを使って学んだ。


 日伯両国は地理的に最も遠いが、心情的には最も近い国だ。日本文化の根幹をなす日本語をブラジルで広めれば、日本への理解者が増え、国益にもつながるのは当然だ。


 教育は一朝一夕に成就しない。目には見えない長い年月とカネが掛かる。関係者が緊密に連携して半世紀先を見据え、時代に即応した日本語普及方策を考えなければならない時代が到来している。


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タグ:サンパウロ

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