新年早々オイルショック! 3
2019.01.28 up
ガソリン不足から交通量も減り、空気が澄み渡っているグアダラハラ
精製済みガソリンのパイプラインからの不正搾取、盗難、組織ぐるみの不正着服とそこから続く転売。これらは数十年前から行われており、近年その量が増加していった、と言われています。
1月18日の夜、メキシコの首都があるメキシコ州の隣、イダルゴ州でパイプラインに引火、1月20日の昼現在、死者が80人近くにも上っています。
何が起こったのか。
このイダルゴ州にはガソリン精製工場から各都市に向けパイプラインが敷かれており、そこからの不正搾取と流出したガソリンを近隣住民がくみ取って転売していたわけです。事実、ガソリンだけではなく「ディーゼルの川」と呼ばれる地区もあり、住民たちがバケツやポリタンクなどを抱えてくみ上げてる様子がビデオに撮影され、SNSでもよく流れてきます。
この日、たった24、25人の州兵に監視されていた(はずの)この場所トラウエリルパンでも、昼間から近隣住民が家族総出でポリタンクをその流出しているガソリンで満たしていました。そのガソリンの噴出は最大で高さ6メートルにもなり、経済的に困窮している地域住民の多くはそこに集まっていました。
イダルゴ州知事の発表によると、その日夕方には周辺地域への立ち入りを禁止するため州兵や警察関係が出動していたとのこと。引火爆発はその約2時間半後に起こりました。
いつも両方向、車でいっぱいのメインストリートも空っぽです
何が原因で出火、爆発したのかはまだ定かにはされていませんが、火は一瞬で爆発を招き、多くの人々の衣服に引火、惨事を引き起こしました。ビデオには火だるまになって逃げ惑う人々が小さな明かりとなって数多く映し出されています。
翌朝の大統領からのコメントでは遺族に追悼の意を述べる部分もありましたが、一般社会的には「盗みを働いていた者たちへの罰である」という感情が高く、これには労災や保険などは適用されるべきではない、という見方も強いのが現状です。
もっと監視の目を強化していれば、ここまで被害が広がらなかったはずだ、との大統領の意見ですが、実際に爆発前に派遣されていた州兵の数や警備の状況がどうだったかは明らかにはされていません。
また、その流出が発覚した時期や、警察関係に通報された時期もあやふや。しかも、今回の引火爆発が初めてだったわけでもなく、この地域ではこれまでに数度、このような火災が発生していたとのことです。
つい先週木曜日にも、ハリスコ州知事から「グアダラハラへのパイプラインも普及したので来週以降ガソリン供給は順次安定していく」と発表があったばかりの大惨事。
市民の間では、ガソリン不足はまだまだしばらく続きそうだ、という認識が強まっています。
日曜日。普段よりもさらに交通量の少ないグアダラハラの空気は想像以上に澄み渡っていました。今回の問題の根本的な改善には、この空気よりももっと澄み渡った誠実な対応と人々の社会参加が必要なのではないでしょうか。
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