ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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 コーヒー大国ブラジル。コーヒー占いはブラジルで生まれました…と言いたいところですが、ブラジルでコーヒー占いがポピュラーな場面を見たことはありません。

 ブラジルでコーヒー占いをする文化があるのは、密かに、アラブ人やアラブ文化を受け継いでいる人々です。

 ブラジルには19世紀から、さらにさかのぼれば、16世紀の植民地時代からも現在のアラブ諸国と呼ばれる土地から人々が到着してきました。その様なアラブに縁のある人々の間では、ボーラ・ド・カフェ(コーヒーのかす)という呼び名で、コミュニケーションとしてコーヒー占いをするようなことがあります。


 今日、ブラジルでコーヒーを抽出する時は、布ドリップや紙ドリップ、コーヒーメーカーやエスプレッソマシンが中心で、コーヒーのかすは液体とはほぼ分離されます。しかし、コーヒー占いに必要なのは、少量のコーヒーを抽出した後の残りかすです。そのためには、アラブ式コーヒーの抽出法が必要になります。

 アラブ式抽出法とは、鍋でコーヒーの粉を煮立てた後、粉を沈めてから煮汁をコップに注ぐという方法です。アラブ式のコーヒーには、専用の鍋とコップがあります。

 この方法では、どうしても少量のコーヒーかすがコップに入ります。飲む時はできるだけ上澄み液を飲みますが、最後にコップの底にはコーヒーかすが残ります。この残りかすがコーヒー占いに使用されます。


 コーヒーを飲み干した後、コップの上に平皿を置き、残ったかすが残りの水分でコップ全体につくようにくるくると軽く回しふり、そのまま逆さまにします。その状態で10~15分くらい放置し、コップ内の水分が乾くのを待ちます。

 水分が乾くまでの間はひたすらおしゃべり。そうして水分が乾いた頃を見計らってコップを上に向け、中のコーヒーのかすの模様を見ながら占います。


 コップについたコーヒーかすの量や模様などを見て、普通の占いと同様に、様々な運勢を判定します。子どもの頃からの趣味として、占い方を知っている人もいますが、最近ではビデオやカメラに撮影して、より詳しい人に判定してもらうこともあるようです。

 アラブ移民の家庭では、関西人の家にタコ焼き機があるような感覚でアラブ式のコーヒー鍋があります。しかし、ブラジルの店ではどこでもコーヒーは飲めても、アラブ式のコーヒーはどこでも飲めるわけではありません。アラブ料理店の中には、メニューになっている店もあります。そうした店では、アラブ菓子を食べながらコーヒー占いをして、話に花を咲かせるのも世界各国からの移民とその子孫が暮らすサンパウロならではの楽しみです。



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