オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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 オランダには、COCと呼ばれる組織があります。COCとは、CultuurーOntspannings Centrum の頭文字を取ったもので、「文化と癒しを人生の中心に考える組織」のことを意味します。このCOCは、同性愛者、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の権利を守る組織で、創立は1946年とのこと。オランダの憲法第1条でLGBTI(同性愛者)の権利を憲法に含めるよう長年、働きかけてきました。現在のオランダでは、LGBTIの人々に対する差別が禁止されているのは、この組織による働きかけが功を奏した結果ともいえるでしょう。


各々が着飾って思う存分楽しみながらアピール

各々が着飾って思う存分楽しみながらアピール

 毎年7月最終の週から8月の最初の週にかけ、首都アムステルダムの運河に浮かべたボート上では、Canal Pride Parade(運河パレード:着飾った同性愛者たちが自由を満喫する恒例の船上パレード)が行われ、同性愛者たちは、彼らの選択が尊重されていることをアピールします。


パスポートにも記載されるか?

パスポートにも記載されるか?

 オランダでは2019年10月に、初の「性別X」のパスポートが発行されました。これは、無性別を表すXのことです。それに先駆けオランダでは、2014年から、性転換をした人物は性別の変更を市役所に申請できるようになりました。つまり、男性として生まれてきても自分は「女性」であると己が認めた人物や、女性であっても「男性」として生きる決断をした人物が性転換をして性別変更をする事が承諾されることを可能にしたのです。


 オランダの同性愛者の人たちは、己を特別な存在であるとは考えていません。好きな相手が同性だっただけのことであり、人を愛する気持ちに性別の「差」はない、と思っています。また、周囲もそれを当然と考えています。ただ、今から50年ほど前まではやはり、異性を好きになる事のほうが自然である、と一般に考えられていた過去がありました。世界に先駆け、同性同士の婚姻を認めたのは2002年ですが、オランダの同性愛の人びとが、己の権利を得るまでには、やはり時間がかかったと言えるでしょう。


 今後は、パスポートをはじめ、就学や就職の際に不可欠な性別の申請を、法によって廃止するという法案も国会に提出されています。既に、身分証明のために生体認証(バイオメトリクス認証)が広まっていることもあり、将来的にパスポートや運転免許証などの各種証明書に性別を記入する必要が、完全になくなる日が来ると思われます。


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