北海道生まれの私はポルトガルのバタータ（ポテト）を食べて愕然としました。
「北海道のジャガイモより、美味しい…」
その味は私の記憶の中に深く刻まれることとなりました。

私がポルトガルに住んでいたのは３年前のことです。
リスボン近郊のリゾート地カスカイスは新鮮な魚介が有名な街、よく魚料理の店に食べに行ったものです。
料理の横には必ず、茹でただけの“バタータ”がたっぷりと添えられます。
それを口に入れた瞬間、私は思わず首を傾げました。

“茹でる際にスープストックか化学調味料でも入れたのかな？そうじゃなきゃ、おイモにこんな「旨み」がある筈がない”と。

ところがどこのお店に行ってもその味は殆んど同じ。
塩さえかかってはいません。
それなのにこの「旨み」は一体どうしたことでしょう。
特別なシーズニングを使ったのではないかと思うほどです。
でもそうではありませんでした。
青空市場で買ったバタータを家で茹でてみると、何も手を加えずとも、レストランで食べたものと同じ味がしたのです。
感動しました。

ポルトガルではバタータは10キロ単位で買うのが普通。
きっと毎日のように家庭で出されているのでしょう。

私にとって今でも一番懐かしいポルトガル料理は、この「茹でたバタータ」です。

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