犬飼う山の民 ヒンドゥー教の聖なる地
2011.07.26 up
山肌に広がる棚田を車窓から眺めながら、舗装された山道を車で上っていくにつれ、不思議と、家の前で犬を飼っている住宅が増えていきました。首都ジャカルタがあるジャワ島東部のブロモ山(標高:2392メートル)は、イスラム教が多数を占める東ジャワに位置しながら、ヒンドゥー教を信仰する民族が住んでいる珍しい地域です。ここでは、犬を守り神としてあがめる習慣があり、ヒンドゥー教の聖なる地として崇(あが)められてきた山頂に近付くにつれて、犬を飼う家庭も増えていきます。
犬を「不浄のもの」としているイスラム教が多数を占めるインドネシアにおいては、犬を散歩している光景を見掛けることはほとんどありません。それぞれの宗教観によってこういった違いが生じるのです。「犬が鳴いているから、あの家はヒンドゥー教徒さ」なんて見分けることもできると、友人のインドネシア人は言っていました。
ブロモ山の山頂。火口のふもとに小さく見えるのはヒンドゥー教の寺院=2008年11月に撮影
宗教を抜きにすれば、庶民の間で広く人気があるペットは鳥です。昔、ジャワ島に住む王族が好んで王宮で鳥を飼っていたこともあるようで、現在もその名残か家の軒先に鳥かごをつるして鳴き声を楽しむ姿が下町ではよく見ることができます。鳥市場では、インドネシア各地のほか東南アジア各国から集まった色とりどりの鳥たちが売られています。
しかし、インドネシアで一番身近な動物として親しまれているのは、ヤギかもしれません。この場合、ヤギはペットというより家畜に近いのかもしれないのですが、放し飼いにされ、下町の広場のすみで草をついばんでる姿をよく見掛けます。インドネシアでは、ヤギの肉をよく食べるほか、お祝い事や犠牲祭で献上されたりします。
自宅近くにある駐輪場で育てられているヤギたち
レポーター「岡坂 泰寛」の最近の記事
「インドネシア」の他の記事
0 - Comments
Add your comments