スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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レシートの例。商品によって4、10、21%と違う税率が適用されているのがわかる

レシートの例。商品によって4、10、21%と違う税率が適用されているのがわかる

日本での一律にかかる消費税とは対照的に、スペインでは消費するものやサービスの種類によって課税される税率が変わってきます。スペインの消費税である付加価値税はIVA(イヴァ)と呼ばれ、標準税率(21%)、軽減税率10%、(4%)の3種類に分類されます。

基本的に内税なので、買い物時の表示価格がそのまま請求金額になっています。ということもあり、税率を意識せずとも買い物ができてしまいます。

けれど、以前、ふと目にしたスーパーのレシートで、3種類の税率に分けて、「どの税率のものをいくら買ったか」という表示がされているのを見つけ、それ以後は時折、レシートを見ては、どの商品がどの税率に分類されているのかを見るようになりました。


スペインの3種類の税率は、以下のような分類がされています。

1つは、パン、小麦、ミルク、チーズなど、いわゆる一般的な生活必需品への付加価値税(IVA)で、特別軽減税率が適用される、最低率の4%。日常生活で必要なものには最低限の税率をかけることで、セーフティーネットがひかれているというわけです。

一方で、レストランやホテルのサービス、アルコール飲料・清涼飲料を除く食品、飼料、医薬品、女性用衛生用品などは、軽減税率の10%が適用されます。

そして、最高税率は21%です。


劇場や映画などは最高税率の21%が適用されています

劇場や映画などは最高税率の21%が適用されています

IVAの分類を強く意識したのは、2012年の9月に、文化関係のイベントや映画にかかる税率が最高税率21%になったときでした。

それまでの最高税率が18%から21%に引き上げられたのですが、その際、映画や劇、コンサートなど文化関係のチケットの税率が、軽減税率(現在10%だがそれまでは8%だった)から最高税率扱いになり、一気に税率が21%かかるようになりました。それまでの8%から21%と、13%の税率アップはかなりのもの。


そして、文化関係の税率が21%に引き上げられたと同時に、中央政府の予算に占める映画や音楽など文化関係の予算は15%削減されています。劇場やコンサートなど文化を支える産業への、国としてのサポートが過激に減らされた感が否めません。


わたしは週末に、よく子供を連れて劇場に足を運びます。子供たちに、生の演劇を楽しんでほしいからというのが第一の理由ですが、無料の劇もある中で、わざわざ有料の劇場に足を運ぶのは、芸術の維持・発展に携わっているアーティストの人たちを応援したい気持ちがあるからです。

よく行く劇場のオーナーと話をしたとき、「ただでさえ経済不況の影響で、文化行事に対しての消費者の財布のヒモがしめられている中、最高税率のIVAが課せられたことで人々の足が劇場からますます遠のいている」と話をしていました。


生活必需品に対して最低税率を適用するなど、スペインの税制には日本の税制が学んでほしいところもある一方、不況のあおりを受けやすい文化事業などをどうサポートしていくかという課題に、これから前向きに向き合ってほしいです。







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  • 2 コメント

2 - Comments

かなやより:

2014 年 03 月 14 日 15:30:12

本来はスペインのように、生活必需品の税率は低くあるべきだと思います。日本はどうしてできないのかなあ。

道下より:

2014 年 03 月 15 日 14:41:31

軽減税率の考え方はしっかりと日本でも議論すべきことです。スペインのように生活必需品目を低税率にすれば、税の負担感を緩める材料にもなるのに。高税率を掛けるべきところをしっかり議論して差を付けるべきでしょうね。

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