副操縦士によって意図的に起こされた墜落事故(スペインでの報道)
2015.03.28 up
墜落事故は28歳ドイツ人副操縦士の意図的な行為だと断定された【出典】Levante-EMV
今週スペインを震撼させたのは、Lufthansaの格安航空子会社のジャーマンウィングス(Germanwings)の墜落事故のニュースだった。
乗客150人を乗せたジャーマンウィングス(Germanwings)が運行していた、スペイン・バルセロナ発~ドイツ・デュッセルドルフ行きのAirbus A320機が、フランス・アルプスの山岳地帯で墜落したというのだ。
乗客150人のうち、40人ほどはスペイン姓だとして、スペインでもこの墜落事故に関しての報道が延々と続けられていた。
・「事故」が起こったと報道されたのは、3月25日水曜日。事故が起こった事実と乗客のうち40名弱がスペイン姓であること、乗客のなかにはドイツから交換留学に来ていた17歳の学生グループが乗っていたこと、生存者がいる可能性はほぼゼロ、アルプス山脈での事故機の救難活動は今後数日の天気との闘いとなるが、かなり難航するだろう、というような主旨のことが伝えられた。
事故が起こった当日の報道では、事故原因は不明ながら、当日の上空の様子は悪くなく、何故飛行機が墜落したのかよくわからない、という不明点が募っていた。水曜日の夜スペインのテレビやラジオ番組は「エアバスに一体何が起こったのか?」と推測する状況が続いていた。追撃現場から取り出された、コクピットのボイスレコーダーとフライトレコーダーの解析が事故の原因を知る鍵になる、その解析結果を待とうと。
・翌日26日木曜日も、朝から本件の報道でテレビやラジオで持ちきりだったが、報道の主旨をまるっきり変えたのが、フランス司法当局によって発表された以下のコメントだった。
フランス当局は、「コクピットのボイスレコーダーとフライトレコーダーの解析から、事故は、GermanwingsのA320機を運転していた副操縦士のアンドレアス・ルビッツによって意図的に墜落されたものと断定せざるを得ない」と発表した。このニュースは衝撃とともにスペイン中を駆け回った。
ボイスレコーダーとフライトレコーダーの解析結果から、離陸から20分ほどは、パイロットと副操縦士の間で「普通の」会話がされていたという。その後、機体が安定した上空に進んだのを機に、パイロットが席を離れた(トイレに用を足しに行ったと思われる。発表によるとヨーロッパでは、機体が安定した状態にある場合、パイロットか副操縦士のどちらかが「最低限の短い時間だけ」席を立つことは「普通のこと」だそう)。
機長がコックピットに戻ろうとした際、副操縦士は、機長をコックピット内に入れるための開錠操作を行わず、パイロットはコックピットから締め出された状態になった(パイロットの死体は、コックピットの外で発見された)。レコーダーには、ドアを壊す勢いで「ドアを開けろ」と懸命に叫ぶパイロットの声が残っている。
しかし、コックピットにただ1人存在し、開錠をできたはずの副操縦士アンドレアスは、最後まで呼びかけに応答しなかった。
パイロットがコックピットを離れた後、副操縦士は、意図的に「機体を降下させる」操縦を行い(複数の操作が必要なため、アクシデントで起こってしまう操作ではないことから、意図的な行為だと断定できた)、機体をアルプス山脈の山肌に激突させた。副操縦士の「正常なリズムの呼吸」は最後の瞬間まで録音に残っており、副操縦士は「意識がある」状態であり、「意図的に」事故を起こしたと断定された。
「28歳のドイツ人男性にいったい何が起こったの
か?」
木曜日の夜は、推測と分析、憶測が悲壮感と衝撃とともに国内を包んだ。
・27日金曜日もテレビやラジオ、新聞は朝から本ニュースでもちきりだった。夕方になり、副操縦士の彼女から、副操縦士が6年ほどうつ病にかかっている証言をしたと発表。捜査当局も副操縦士のアパートから、「精神病」と診断された破かれた医療診断書を見つけた。
副操縦士は、医者から「精神病」の診断を受けており、飛行を続けれる状態ではなかったが、それを会社には隠していたことが判明。事件当日も薬を服用していたこともわかった。
(2015年3月27日夜、スペイン)
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