ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

前の月へ

2024.4

次の月へ
S M T W T F S
 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     

4月14日午後9時25分すぎ、熊本県全域を襲った地震直後の民家の部屋

4月14日午後9時25分すぎ、熊本県全域を襲った地震直後の民家の部屋

 今年、熊本県や鳥取県に続き、11月には東日本が地震に襲われた。筆者は、4月中旬に発生した熊本地震の見舞いと半年後の現況を視察するため、10月初めに故郷の熊本を訪れた。想像以上の惨状を目の当たりにして心が痛んだ。


 ホテルに着いてすぐ、熊本城の周りを歩いた。天守閣の最上部は瓦がはげ落ち、風によるものか、それとも鳥によって種が運ばれたのか雑草が生えている。石垣が各所で崩落し、一つの櫓が今にも落ちそうだ。外国に住む熊本県人の文化的シンボルは「熊本城」に尽きるだろう。筆者も一口城主の一人。見終わって、お城の無残な姿にため息が出た。


 幼いころ、歩き回った健軍町商店街へ行った。アーケードが一部破損し、古い建物の壁には亀裂が確認できた。文房具店経営の女性は、「まさか、あんな大地震が来るとは思わなかった。明日また何が起こるか分かりません。地震は怖いです」と、発生当時の恐怖を語った。
 戻る途中で水前寺公園に立ち寄った。いつもくぐっていた大鳥居がない。参道入り口近くのお土産品販売店主に聞くと、「ご覧の通り、もう片付けた。幸い、池の水はほぼ回復しました」と力強く話す。鯉が数十匹群れて泳ぐ姿を、石橋の上から眺めて気分が和んだ。


 被害が最大だった益城町をはじめ、城南町、菊池市、大津町も回った。城南町の食品製造会社は通常通りの生産開始までに半年もかかったという。ある社員は「地震後の休職中に給料の全額支給はなかったが、7割程度もらえて助かった」そうだ。


 筆者が住むブラジルのサンパウロ市には地震がないといわれる。揺れても震度は1~2程度。台風や津波もない。しかし、たまに豪雨や竜巻に見舞われるし、ひょうも降る。大天災は少ないが、他国に比べて人災面で交通事故多発や治安が悪いのは事実。この世に100%安全な場所はないようだ。


レポーター「日下野 良武」の最近の記事

「ブラジル」の他の記事

タグ:サンパウロ

  • 731 ビュー
  • 0 コメント

0 - Comments

Add your comments

サイト内検索

Name(required)

Mail(will not be published)

Website

Archives