ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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花に蚊の天敵であるレベルラ(トンボ)が集まるクロタラリアの種子

花に蚊の天敵であるレベルラ(トンボ)が集まるクロタラリアの種子

 昨年あたりからブラジルの妊婦を震撼させているのがジカウイルスです。

 このウイルスによって引き起こされるジカ熱という病気は、症状はごく軽いもので致死率も低いのですが、もっとも深刻なのは、妊婦が罹患すると小頭症に罹る可能性が指摘されていることです。

 本当の原因は特定されていませんが、ブラジル東北部のジカ熱が発生した場所で小頭症の赤ちゃんが多く生まれているという例があり、ジカウイルスは特定の蚊が宿主で媒介者にもなるため、現在、ブラジルの妊婦は蚊に刺されないように敏感になっています。


クロタラリアの種子の種子を妊婦さんに配布している不妊治療クリニックFerticlinの中野英二医師

クロタラリアの種子の種子を妊婦さんに配布している不妊治療クリニックFerticlinの中野英二医師

 蚊を媒体とする病気は昔から存在します。代表的なマラリアは特効薬もありますが、近年ではデング熱やチクングニヤ熱、そしてジカ熱などが恐れられており、実際、デング熱はサンパウロ市でも身近な方が複数も罹患して大変だった話を聞いています。

 そんな恐怖の蚊を避けるのに日常でできることは、長袖の服を着たり、虫除けの薬をつけたり、網戸や蚊帳を使用したりするほかありません。

 そんな中、面白い取り組みをしているのが、サンパウロ市内の不妊治療クリニックFERTICLINの中野英二医師です。


不妊治療クリニックFerticlinの中野英二医師が配布しているクロタラリアの種子

不妊治療クリニックFerticlinの中野英二医師が配布しているクロタラリアの種子

 中野医師は少しでも妊婦さんの不安を軽減させて明るい話題をということで、クロタラリア(Crotalária)という植物の種子を配り始めました。

 クロタラリアの花にはリベルラ(Libélula)と呼ばれるトンボが集まってきます。そして、リベルラが卵を産む水にデング熱などの原因となる蚊も卵を産みます。リベルラの幼虫(やご)は蚊の幼虫(ぼうふら)を食べると言うことで、天敵であるトンボを集めることで蚊の繁殖を抑えられるそうです。

 この取り組みは既にデング熱の罹患者が他都市に比べても多いブラジルのマトグロッソ州のいくつかの自治体で実施されており、既に蚊の発生が抑えられたという事例も出ているそうです。クロタラリアの種をまくことでいつ終わるともしれないジカ熱やデング熱などの脅威から解放されることに期待が寄せられています。 

●リベウラとクロタラリアのYoutube映像
https://www.youtube.com/watch?v=YU5E7no4Ido


インターネットで確認できるクロタラリアとリベルラ

インターネットで確認できるクロタラリアとリベルラ


不妊治療クリニックFerticlinの中野英二医師が配布しているクロタラリアの種子と説明書

不妊治療クリニックFerticlinの中野英二医師が配布しているクロタラリアの種子と説明書


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