ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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サンパウロ市内のイスラエル・ユダヤ料理店のフムス

サンパウロ市内のイスラエル・ユダヤ料理店のフムス

 今年1月20日付の東洋経済オンラインで「イスラエルとアラブ諸国の埋まらない食の溝」と題してひよこ豆の伝統料理フムスをめぐってイスラエル料理かアラブ料理かの大論争が巻き起こっていたという話題がありました。http://toyokeizai.net/articles/-/204202?page=7

 フムス(ポルトガル語でhomus)はサンパウロでもアラブ料理として一般的に知名度があります。ブラジルにはシリアやレバノンを中心とした中東からのアラブ移民とその子孫の存在感があり、現在のテメル・ブラジル大統領やアルキミン・サンパウロ州知事、元サンパウロ市長も数人がアラブ移民の子孫で、医療や法律分野、商売でも成功して富裕者が多いイメージが定着しています。

 ブラジルのアラブ移民は、19世紀後半に弱体化するオスマン帝国とそこで迫害を受けたキリスト教徒のアラブ人が到着し始めたのが集団移住の始まりです。1908年から公式移民が到着し始めた日本人移民よりも古い歴史があります。ブラジルの植民地時代や帝政期にも既にブラジルに渡ってきたアラブ移民はおり、ブラジル帝国の主要な任務に当たる人も存在したということで、その辺がサンパウロやリオを中心に、アラブ文化が庶民の生活にも取り入れられている理由としても挙げられます。


サンパウロのアラブ料理店のフムスと他の料理の盛り合わせ

サンパウロのアラブ料理店のフムスと他の料理の盛り合わせ

 イスラエルでアラブ人とユダヤ人がフムスの起源をめぐって争ったという話題ですが、サンパウロでは、フムスの原料であるひよこ豆もごまペーストのタヒーニも身近な食材です。起源の地などとらわれることなく、普通にブラジルの食品として受け入れられています。ブラジル人なら「ブラジル食」と言ってしまうかもしれません。そのくらいルーツなどにとらわれない寛容さがあります。

  サンパウロで決して少数ではないアラブ料理店に行けば、フムスはおなじみのメニューですが、少数しかないイスラエル料理店でも確かにフムスはあります。しかし、ブラジルで食べられる普通の食材から作られる中東起源の料理としか思わない人がほとんどだと思います。
 
 食文化でいえば、フムス以上にキーベとエスフィッハはもっともブラジル料理として定着した中東料理といえる状況です。もっとも、起源の土地と微妙に食材や味付けも変えられ、ブラジル流に変化していることも多いです。


アラブ料理店のカウンターのエスフィッハ(下段)とキーベ(上段)

アラブ料理店のカウンターのエスフィッハ(下段)とキーベ(上段)

 今やブラジルでも認知度の高い料理だけに、一部の一般的なスーパーではビーツ入りのフムスもおなじみの食品で、誰にでも食べやすく、売っている風景は既にブラジル食品という風情さえ漂います。

 中東の民族や宗教対立の話題を見ていると、経済格差を除いては、文化や伝統をものさしに大論争が巻き起こるのは考えにくい平和なブラジルを感じます。


富裕層向けのスーパーで販売されているビーツ入りのフムス(ピンク色の料理)

富裕層向けのスーパーで販売されているビーツ入りのフムス(ピンク色の料理)



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