ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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サンパウロ市の東洋街

サンパウロ市の東洋街

 5月初めからブラジルでは明るい話題の報道が消え、テレビをつければ新型コロナウイルス関連のニュースばかりだ。5月末現在のブラジル全国の死者数は合計3万人を超え、感染者は53万人を突破した。そのうち、サンパウロ州内の死者は約5000人に達している。


店先には「布製のマスクあります」の張り紙

店先には「布製のマスクあります」の張り紙

 この国の拡散の最大原因は貧富の差が激しいからだろう。会社経営者や大手企業役員クラスには、大邸宅に住む人も珍しくない。逆に、「ファベーラ」と呼ばれる貧民密集地域では、一家3~5人が6畳一間ほどのスペースの閉ざされた中で暮らす家族も多い。国民約2億1000万人の約20%が水道もないその日暮らしの貧困層といわれ、犠牲者の大半を占めるのも当然だ。
 また、ボルソナロ大統領が経済優先を執拗に唱え、各州知事は結束してそれに反対。その対立が今も続き、挙国一致できないのが終息を遅らせている原因でもある。さらに、同大統領は国会議員の息子に汚職の疑いが掛かり、守勢に躍起。


 サンパウロ市の東洋街

 サンパウロ市の東洋街

 各局テレビは一日に1000人近い死者数を逐一報道しており、国民は驚きを隠せない。個人主義の強いブラジル人は、自分が良ければ他人はどうあろうと干渉せずの考えが強く、一向に収まりそうもない。ただ、ブラジルでは北半球諸国に比べ、約1か月遅れで発生している。6月末までが山になりそうだ。


 サンパウロ市在住の筆者はこの2か月間、ほとんど外出していない。食品購入はスーパーへスマホで品目を伝え、直属の配送会社に頼む。銀行の毎月の支払いもキャッシュレス決済。感染の恐れがあるため、外出は極力控える毎日だ。


 生中継映像で市民のマスク姿を見て、思わず顔が緩んだ。マスクの色は白が基本だが、女性の間には手作りの派手な花柄模様が多い。一方、男性はプロサッカーチームのマークをプリントしたりして得意げに歩く。落ち込まない楽観主義の気質が表れている。


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