
『Glacier3000』で一番人気の吊り橋
昨今の温暖化で、スイスの夏も年々暑くなり、30度を超えるのも当たり前になってきました。
スイスなどヨーロッパでは、冷房が設置されていない家庭がほとんど。わが家も扇風機一つで夏を生き延びているのですが、暑さが続くと標高がある場所へ行きたくなります。
そんなある8月に訪れたのが、スイス南西部ヴォー州にあるレ・ディアブルレ(Les Diablerets)という村にあるピヨン峠。この峠は標高が1500メートル以上の場所にあるのですが、ここから大きなロープウェイでさらに高い3000メートルの標高のセ・ルージュ(Scex Rouge)という山まで行けるようになっています。
頂上駅に到着した途端、ヒヤッとした空気を感じました。少し歩いていると空気の薄さからか、息苦しさを感じ始めたので、これはゆっくり進まないと高山病になってしまいそう。

リフトに乗って、氷河のある下の方へ
ここにはさまざまなアクティビティが体験できる『Glacier3000(グラシエ・トロワミル)』という施設があり、レストランやギフトショップはもちろん、標高3000メートルの所にある吊り橋やミニコースターなども楽しめるようになっています。
今回われわれが体験したかったのは、セ・ルージュ氷河の上を歩くこと。氷河までは歩いて降りて行くことも可能ですが、リフトで簡単に下まで行くこともできます。
ちなみにここの氷河は、年間を通して誰でも歩くことができます。

リフトから氷河と道が見えました
それにしても、10年以上前にセ・ルージュ氷河を見に来た時は、冬に来たからということもありますが、もっと氷河面積が広く、積雪も多かった記憶がありました。しかし夏に来た今回、氷河が若干痛々しく見えます。
氷河そのものが薄く、地肌が見えている所も多かったです。そして降雪量が少なく気温も高いので積雪もなく、春の雪解けの時期のようにじゅくじゅくとしています。

氷河の下には土が見えています
恐る恐る氷河の端の方を歩いてみました。防水のしっかりした靴ではないと、氷河を向こうまで突っ切って歩いていくのは難しそうです。
さらに気になるのは氷河のあちこちに被(かぶ)された白い大きな布たち。この白い不織布のシートは断熱性で、氷河の表面を覆うことで太陽光を遮断し、氷河の氷の層や雪の融解を遅らせる効果があるのだそうです。
毎年春の終わりから初秋頃まで、スイス国内にある氷河には、こういったシートがかけられている場所がいくつもあります。

氷河の消失を防ぐため、夏の間は白いシートで保護されています
しかしスイスの氷河が融解していく量が膨大かつ速すぎるため、白い断熱シートによって保護される氷の量は微々たるもので、“焼け石に水”なのだとか。
現在の気候変動と気温上昇により、今回訪れたセ・ルージュ氷河は2035年までに消滅すると考える氷河学者もいます。
スイスの氷河が消失していく速さは、専門家たちの想像をも超えるスピードで進んでおり、スイスにとって大切な氷河がなくなる危機が刻一刻と迫っています。
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