オアフ島の中央部分、パイナップル畑が広がるワヒアワの町に、クカニロコという場所があります。1100年から1700年ごろにかけて、オアフ島で唯一ハワイ王族の出産が行われた聖域です。

　赤土の煙る乾いた小道を下りていくと、石の群れが横たわるクカニロコが見えます。大小アシンメトリーに並んだ石は「バースストーン」と呼ばれ、その数は約180。かつてハワイの王女たちがその上で出産した神聖な石を囲うように、まっすぐに伸びるやしの木立がほどよい日陰をつくっています。ハワイ王朝にとって大事な子孫の誕生には、36人の王族関係者が立会いました。へその緒が切られると、ドラムの響きとともに、王族の繁栄が声高らかに叫ばれたといいます。

　民間人には立ち入り禁止であったクカニロコ。現在でもここを訪れるときはハワイ王族に敬意を表し、石を動かしたり傷つけたりすると、罰があたると信じられています。なにしろ、禁を犯すとその場で処刑が行われ、また王族の死産も数多くあったのですから…。

（参考文献：www.hawaiistateparkes.org）

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