日本人舞台美術家がブルガリアの演劇賞を受賞!
2011.04.05 up
国立劇場前のレッドカーペットに並ぶノミネート者 右から二人目が山村倫さん
3月27日に首都ソフィアの国立劇場で、「イカル」(イカロス)というブルガリアの演劇賞の授賞式がありました。この一年のブルガリア演劇において最も活躍した人たちに贈られる賞で、主演男優賞、作品賞をはじめとした様々な賞があります。
今年のイカル演劇賞にはブルガリアで活躍している日本人舞台美術家の山村倫(やまむら・りん)さんがノミネートされ、見事に人形劇芸術部門の最優秀賞を受賞されました。
イカルのトロフィーと賞状を手に微笑む
山村倫さんはブルガリア在住10年の舞台美術家で、ソフィアにある国立演劇映画アカデミーの人形劇舞台美術科を卒業しています。演劇の仕事以外にも、絵本の出版やCDジャケットのデザイン、展覧会への参加など幅広く活躍しています。
今回の受賞は、2010年4月に初演となった「ツァル・シュシュミガ」(シュシュミガな王様)という人形劇における、人形デザイン・制作と舞台美術を評価されてのものです。人形劇といっても子供向けのものではありません。ツァル・シュシュミガは共産主義への皮肉を含んだ戯曲だったことから、出版された当時は読むことを禁止された作品でした。芝居のコンセプトから人形と舞台は白と黒だけで構成され、山村さんが制作した人形たちの愛嬌ある表情が、風刺の世界に大きな深みを与えていました。ここで舞台の写真をお見せできないのが本当に残念です。
受賞のスピーチをする山村倫さん
彼女は、実は私の良き友人です。授賞式の舞台裏を少しお話ししますと、まず彼女の身に付けているショール、コサージュ、ポシェットは私のもので、授賞式の前に我が家で身なりを整えていったのです。いつも紫やオレンジ、ピンクの服ばかり着ているので、授賞式に出るようなシックなものを探して私に助けを求めたのでした。普段はアクセサリーをつけない彼女ですが、このときは折り紙で折った白い指輪に白い折り鶴をあしらったものをつけていきました。私が折ったもので、りんさんと私の3月11日、震災への思いです。
ブルガリア語がとても流暢なので、スピーチも堂々としていました。最後に、「私を創り出してくれた日本にありがとう」と言ったところで場内は笑いの渦。彼女の話は作品と同様にいつも愛嬌に満ちています。
春のような暖かいニュースに心が明るくなった3月の終わりでした。
(倫さんへの私からの賛辞として)
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