ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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ブラジルの九九表「Tabuada(タブアーダ)」

ブラジルの九九表「Tabuada(タブアーダ)」

 ブラジルで九九の表はタブアーダと言われます。
 タブアーダの特徴を挙げてみると以下のようになります。
1.たいてい10の段まで、そして〔○×10〕まで記載されている。

2.暗記する時、日本の九九に比べて読み上げる言葉の音の数が多い。

3.初等学校2年生で習うものの、あまり急いで徹底的に覚えさせようという気配が薄く、暗記してくるような宿題もない学校があり、いつか覚えるだろうという雰囲気で表を見ながらいつも計算問題を解いていることがある。そのためか、大人になっても九九をすらすら言えない人は珍しくないといわれる。

 2.の特徴に関して言えば、例えば4×4=16を日本語でいう場合は「ししじゅうろく」であるのに対し、ポルトガル語では「クァトロ ヴェゼス クァトロ デゼッセイス」というように読み上げることになります。
 記載しても一目瞭然ですが、日本の九九の暗記がベースになっている者からすると、あまり合理的でなく、舌も回りにくいように感じます。


今も日本式の九九を使われる日系2世のブラジル人、元サンパウロ州議会議員で会計事務所の代表を務める76歳の下本八郎氏

今も日本式の九九を使われる日系2世のブラジル人、元サンパウロ州議会議員で会計事務所の代表を務める76歳の下本八郎氏

 ブラジルには日本から移民してきた両親を持つ日系2世が多く生活しています。現在、日系2世の大部分が30代40代から80代くらいです。
 日系2世の中には、子供の時にブラジルの学校に通ってはいたものの、九九だけは両親から日本語で暗記させられたという話をする方があまり珍しくありません。
 その様なお話をうかがった方に、元サンパウロ州議会議員で会計事務所の代表、下本八郎氏(76歳)がいます。
 ブラジル生まれのブラジル人である下本氏も、子どもの頃に日本人移民だった両親から日本語で九九を暗記させられ、ブラジル社会の第一線で活躍されてきた今日まで、計算する時に九九だけは今も日本語で使うということです。ポルトガル語よりもやはり使い勝手がよいそうです。

 今、ブラジルで子育て中の日本人の中にも、九九は日本語で教えているという話を聞くことがあります。やはり日本式の九九を身につけている者からすると日本式の方が使いやすく、同時に、親にとってはポルトガル語で算数を教えることはできないので、せめて九九だけは子供に残してやれる唯一の算数の知識といった気分もあるかもしれません。


掛け算の説明をするブラジルの算数の教科書と、3の段を考える時の図での説明(教科書の上の用紙)。

掛け算の説明をするブラジルの算数の教科書と、3の段を考える時の図での説明(教科書の上の用紙)。




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