ありえない混泳 金魚と熱帯魚
2012.03.10 up
日本の皆さまは「金魚」というと、まず縁日の「金魚すくい」を思い浮かべますね。
金魚すくいから持ち帰った金魚を、家に本格的な水槽がなくても金魚鉢やバケツで気軽に飼っていた記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?少なくともエアポンプがあれば飼えると思う方が多いと思います。
それと比較し「熱帯魚」というと、ヒーター、ライト、フィルターなど本格的な器具が必要で飼育も難しいというのが、一般の日本人のイメージかと思います。
しかしスウェーデンでは金魚も熱帯魚と観賞魚としては同等に扱われており、「金魚だから手軽に飼える」という概念はないようです。もちろん熱帯魚とは適温や適正水質が異なりますが、そのような特徴は観賞魚のなかの一つの金魚として捕らえられているに過ぎないようです。
なかにはデパートやスポーツセンターや病院といった公共施設の大型水槽には、金魚と熱帯魚を混泳させている水槽まで見かけます。(前述のように金魚と熱帯魚では、適応条件が異なるので、あまり好ましい組み合わせとは思えませんが…)
デパートの大型水槽、金魚(リュウキン)と熱帯魚(ネオンテトラ、プラティ、エンゼルフィッシュなど)が同じ水槽で飼われています
熱帯魚同士でも、大型魚と小型魚の組み合わせが適切ではないのは食べられてしまうので一般の方にも分かりやすいかとは思いますが、他にも混泳の適・不適の組み合わせは水質や各魚種の気質などにより色々あります。(詳細は専門的分野なのでここでは省略します)
日本のアクアリストの方々にとってはもちろん、一般の方でも金魚と熱帯魚の混泳は考えられないのではないかと思いますが、スウェーデン人にとっては、金魚も熱帯魚も同じ観賞魚、という考えから、このように混泳させている場合も見られるようです。
観賞魚を飼育すること自体は国民の間でそれほどマイナーなわけではありませんが、金魚の値段も一匹40クローナ(約500円程度)しますし、熱帯魚を含めた観賞魚自体の値段も平均日本の約2倍程度です。
金魚を「金魚すくい」のような手軽さで入手できないことも、観賞魚としての価値がより感じられる理由の一つとなっているようです。
金魚も水槽で飼育されるのがごく一般的で、金魚鉢はスウェーデンでは見たことがありません。水草にしても、日本ではアナカリスやカボンバを「金魚藻」と呼んでいることがありますが、スウェーデンでは「金魚藻」と呼ばれる水草はなく、金魚の水槽にも熱帯魚の水槽同様に各種の水草が植えられています。
スウェーデンの観賞魚売り場、熱帯魚と金魚が同じコーナーに並んでいます
我が家のネオンテトラ水槽
熱帯魚を飼い始めた中学生の頃、「金魚すくい」ならず「ネオンテトラすくい」など本当にあれば面白いかも?と考えていたこともありましたが、いざ逃げる時の泳ぎの助走が速いネオンテトラをポイですくうことを想像すると至難の業ですね。
金魚すくいは日本独特、もちろんスウェーデンでも見ることがありません。
縁日には欠かせない「金魚すくい」は日本の伝統文化としても重要で否定することはありませんが、スウェーデン人にとっては「魚をすくって楽しむ」という行為は、ちょっと考えられないことのように思います。
レポーター「山本 グィスラソン 由佳」の最近の記事
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