ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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信号が青に変わると…(サンパウロ市内で)

信号が青に変わると…(サンパウロ市内で)

 最近、日本からの報道で交通事故死のニュースが目に付く。高齢者の不注意や操作誤り、酒気帯びやあおり運転などが原因なのか。南米最大の都市サンパウロでも交通事故は多く、同市での死者は昨年、849人だった。中でもバイク運転手と歩行者の事故が目立つ。


 二輪車による昨年の運転死者数は366人(サンパウロ市交通局調べ)。毎日、1人が犠牲になっている格好だ。専用車線はなく、警笛を鳴らしながら車の間を疾走、渋滞時にはサイドミラーを壊されるのも珍しくない。
 同市の場合、市内中心部での制限時速は50キロで、狭い道では40キロ。主要道路の各所にカメラが設置され、違反者には罰金が科せられる。しかし、信号が青に変わると、前方のバイクが一斉にわれ先にと急発進。後続の車が追い付けないような速度で走り去る。


 歩行者の不注意と交通道徳欠如でも事故は発生する。横断歩道を渡らず、走行中の車の間を足早に駆け抜ける若者、また、高齢者が目を配らずに車道をゆっくり横断する。一方、運転手の5人に1人は方向指示器もつけず右左折。狭い道の真ん中で急停車、急な割り込み運転や車線変更など枚挙にいとまがない。事故が起きるのは当然だ。


 地域の町へつながる街道ではどうか。北海道は広いが、ブラジルの国土は日本の23倍。各都市までの距離が200キロを超えるのは珍しくなく、大量貨物輸送は大半がトラックに依存している。居眠り運転か、それともスピード違反によるものか、道路脇に横転した大型車を何度も見た。


 日本人には譲り合いの精神がある。ブラジルでは概して自己中心の人が多い。また、学校教育に交通安全指導の授業はない。啓蒙活動もない。ただ、その科目を専門的に教えるだけ。日本を手本にして、ブラジル政府当局は小学校から高校までの交通事故撲滅の一貫教育に取り組んでほしい。


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