現代の移民が織りなす多様な夜会
2019.09.18 up
「SARAU DOS MIGRANTES E DOS DIVERSIDADE(移民と多様性の夜会)」に参加した人々の記念写真
ベリーダンスにアフロミュージック、各国の詩など、人種も民族も超えた、世界各国出身者による文化の紹介や移住の経緯に耳を傾ける夜会はいかがですか?
9月4日、移民によって発展してきたことを改めて回帰させられるようなブラジルらしい新しいイベントがサンパウロ市内で最も古くに設立された
マリオ・デ・アンドラーデ図書館で開催されました。その名も「SARAU DOS MIGRANTES E DOS DIVERSIDADE(移民と多様性の夜会)」。
この夜会を企画したのは、2014年にシリア戦争を逃れてブラジルで難民となり移民することになったアブドゥルバセット・ジャロールさん(29歳,シリアのアレッポ出身)。シリアだけでなく、様々な国情から難民となることを余儀なくされた人々の経験をアートを通じた心の言葉で語り合うことで、ブラジルでの難民の存在を広く認識してもらおうという願いも込められています。
「SARAU DOS MIGRANTES E DOS DIVERSIDADE(移民と多様性の夜会)」で自らの思いを語るコンゴ民主共和国出身のプルデンス・カランバイさん
全体の監督がシリア人アブドゥルバセットさんなら、見事な司会進行役を務めるのはベネズエラから移って2年目の元地理の教師であるマリフェル・ヴァルガスさん(35歳)、レバノンでウードを専門に学びブラジルに暮らして3年でプロの音楽家としても活動しているハラジャさん(33歳)はエキゾチックな旋律を奏で、それに合わせてブラジル人のベリーダンサーとシリア人コンビでアラブでポピュラーな歌を披露しました。
内戦や政治闘争、様々な迫害を逃れて移り住んできた元ミス・ビビレ・コンゴだった5人の母でもうすぐ祖母になるというブラジル在住10年のプルデンス・カランバイさん(38歳)は自らのこれまでの体験を語り、モザンビークでレズビアンであることによる迫害を受けて難民となったララ・ロペスさん(35歳)はモザンビークの詩を詠みあげました。最後はブラジルのサンバやポピュラー音楽のルーツを感じるようなコンゴでポピュラーな音楽に合わせて会場みんなでアフロステップを踏むような一幕もありました。
「SARAU DOS MIGRANTES E DOS DIVERSIDADE(移民と多様性の夜会)」でブラジル人ダンサーとシリア人のコンビでのベリーダンスショー
皆、ブラジルでの日々の生活は決して楽ではありませんが、既にポルトガル語でのコミュニケーションはスムーズで、明るくたくましく、人への優しさを忘れない、そして日本人とは比べ物にならないほど短期間でブラジルになじんで生活しています。
難民というと暗いイメージが最初に浮かびがちですがそれこそ偏見であり、彼らと接してそのヒストリーまで聞くと、難民のイメージがポジティブに一変し、彼らの可能性を感じるとともに、今の日本や日本人と比較して色々と感じさせられる機会になります。若い世代でありながら、グローバル社会を生き抜くために必要なことを彼らは教えてくれるような存在です。
「SARAU DOS MIGRANTES E DOS DIVERSIDADE(移民と多様性の夜会)」でモザンビーク人ララさんの詩を聞く訪問者
第1回目は友人知人の訪問客が多い印象でしたが、優しさを感じさせる人を飽きさせない約1時間半のステージでした。世界6カ国に家族が離散して会うこともままならない哀しみを秘めていながら、前向きなアブドゥルバセットさん。その人柄がよく表れているイベントショーでした。
次回は2019年10月19日に開催が予定されています。
9月4日の「SARAU DOS MIGRANTES E DOS DIVERSIDADE(移民と多様性の夜会)」の案内
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