オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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 オランダでは毎年4月~5月、小学校8年生(日本の6年生に相当)を対象とした「中学入試センター試験」が実施されます。これはCito(シト)と呼ばれる文部省認定全国共通テストのことで、日本でいうところの大学センター試験とほぼ同じコンセプトで実施されるものです。


 テスト科目は算数(計算)、国語、そして地理と理科をミックスした「一般教養」の3科目。このシト共通テストの結果が、志望中学校入学の是非を大きく左右します。志望校への入学に当たっては、小学校時代の学業成績すべてが加味されると一般的には言われていますが、このシト共通テストの成績は最も重要です。


 毎年春を過ぎる頃になると、小学校8年生を持つ親たちの話題はシト共通テストのみに絞られます。テストは既に完全デジタル化されており、各生徒はコンピューターかタブレットか、自分の好きなほうを選びます。そして、担任から個人ログ・ナンバーをもらってログインし、テスト画面を開いて問題を解いていくという仕組みです。
 
 テスト内容・構成にはたびたび変革がもたらされました。生徒全員が同じ問題を解くのではなく、生徒ひとりひとりの能力に合わせた問題が、自動的にコンピューターによって提出される仕組みになりました。これは、生徒ひとりひとりが、無理なく満点に近いスコアが取れるように配慮されたゆえだそうです。


 さらにこの新しいテストには、暗記や知識だけでは対応できないよう、ひとひねりされた問題が厳選されています。これは、子どもたちが持てる能力をどのくらい臨機応変に駆使できるかを判断する基準にもなるそうです。また、一人一人テスト内容が違うため、うかつにカンニングができないことも、新しいテストのメリットとなっています。


 オランダの子どもたちは、小学校卒業時にこれまでの学業成績に従って、将来の青写真を描かなくてはなりません。このテストの結果によって、成績優秀な子どもは大学進学コース、平均的な成績を取得している子どもは高等学校進学から就職するコース、または職業訓練コースへと、三つのカテゴリーに振り分けられます。そして能力に見合った中学へと進学するのです。

 もちろん、中学進学後に大学進学コースを目指して勉学に励むようになる子どももおり、良い成績を残せば中途からコースを変更することも可能です。しかし、ベテラン教師にいわせれば、小学校卒業時で既に「将来は、ほぼ決まっている」とのこと。子どもが先天的に持つ学力は12歳時で明確化される、ということになるといいますが、果たしてこのデジタル・テストが、子どもたちの将来にどのような結果をもたらすことになるのでしょうか。


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