スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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ブエノスアイレスにある国立図書館。建物もすごく立派です

ブエノスアイレスにある国立図書館。建物もすごく立派です

アルゼンチンと日本で決定的に違うことの一つであり、お国柄が出ていることの一つが「図書館制度」の違いです。

例えば、アルゼンチンの図書館では、原則、貸し出しは一切なし。
本を貸したら返却されずにそのまま売りさばくことが想定されるので、図書館での本の持ち出しは原則禁止なのです。

入館するにも国立図書館(la Biblioteca Nacional de la República Argentina)では、IDカード(外国人ならばパスポート)の提示を求められます。

そういえば、ぶらっと立ち寄った図書館でパスポートの提示を求められて愕然としたことがありましたが(“ちょっと歩きにパスポートなんて持ち歩かないぞ、ぶつぶつ…”なんてね。)これもアルゼンチンの社会状況や国民性に思いをはせれば納得せざるを得ませんでした。

仰々しくIDカード(外国人の場合はパスポート)を提示して入館した後でも、日本の図書館のように好きなジャンルの本棚に行って思い思いに本を手にとりたくさん並んである本のなかから好きな本を選ぶ方式ではなく、アルゼンチンの図書館ではあらかじめ読みたい本を「決めていて」それらの本をリクエスト。リクエストが通ったら、名前が表示されて受け取りにいく、というパターン。

そうなんです、目的もなく図書館によって「これ面白そう」だから借りる、あの楽しみはないんです。

書物も館内だけの閲覧。

このアルゼンチンの図書館システムは私のように何気なく図書館に立ち寄って、面白そうな本に遭遇することが楽しみな人には面白さは半減します。

でも、国民間での信頼が成り立ちにくいお国柄だけに(だからローンを組めないんです。この話は後日)この図書館のスタイルは、アルゼンチンの今ある状況のなかで図書館制度を成り立たせるために、最大限に妥協された産物なのかもしれません。


街のいたるところで見かける古本屋さん

街のいたるところで見かける古本屋さん

ちなみに、アルゼンチンでは古本屋が盛んで、街の中心であるコリエンテス通りにもたくさんの古本屋さんが並んでいますし、街のいたるところでストリートに古本スタンドが立ち並び、街全体で本を循環させる習慣があるので、図書館で本が借りられなくとも、比較的気軽にそして経済的にたくさんの本を入手できます。

そのように古本屋さんがたくさん街にあり、あらゆるジャンルの本を気軽に購入できることが、私にとってはアルゼンチンでの図書館システムの “窮屈さ”を緩和してくれ、「気軽に徘徊(はいかい)しながら色々な本を手に取り、興味深そうな本と遭遇する楽しみ」を保たせてくれています。





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  • 2 コメント

2 - Comments

sabaより:

2010 年 09 月 27 日 13:24:31

図書館が古本屋さんの図書供給源になってたりして。
払い下げ的な意味ではなく。

そりゃ貸し出し無くなりますよね。

ちなみに新刊本は安価なのでしょうか?

funifunieより:

2010 年 10 月 08 日 13:07:12

素朴な疑問ですが、本を通販で買うのは多いですか?
日本はAmazon、楽天とたくさんありとても利用しやすい環境なのでふと思いました。

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